数年前に書いた原稿のメモを発見したので掲載しておきます。 この文章は2006年1月に発表したものです。 現在の状況とずれているものもございます。 ご了承の上閲覧ください。 第12回「異物の誤嚥」 「誤嚥」と書いて、「ごえん」と読みます。 食べ物ではないものを誤って飲み込んでしまうことを指す言葉です。 犬も猫もビックリするようなものを誤嚥しますが、実は、放って置くと死にいたる場合もあるのです。 異物の通り道(消化器の解剖) 異物も食べ物と同じ様に一つの長い消化管を通っていきます。 まず口があり、のどの奥から食道に続きます。 食道を抜けると大きな袋状の胃に入り、胃の出口は小腸につながっています。 小腸は細くて長く、大腸へとつながっています。 肛門が体外への出口となっています。 この管が普通と違う点は、食べ物を先に送ろうとする動きがあるという事です。 異物の危険 異物はそのまま消化管を通って体外に出てくればたいして恐くはありません。 消化管のどこかにとどまってしまう事で体を傷つける危険性が生じます。 刺さるもの(針・クギ・竹串・硬いものの欠片など)、 引っかかったりまとまったりするもの(糸・ゴム・ほつれる布製品など)、 大きいもの(キャップ類・種子・スポンジや紙など中で大きくなるもの・その他おもちゃ) などが体内にとどまる代表格です。 また、薬品など中毒を起こすようなものもあります。 症状 多いのは、頻繁にみられる嘔吐(もどし)・食欲不振・元気がないというものです。 口臭から気づく場合や、便の中の異物から気づく事もあります。 いずれも消化器を傷害して生じるものですので、 長引けば衰弱し、手術に堪えられるか体力が心配になる事もすくなくありません。 異物の発見 レントゲンに写るものはすぐにわかりますが、ほとんどのものはレントゲンでははっきりと発見できません。 飼い主さんの話の中から誤嚥の可能性がある場合に、より詳しい検査をします。 また、症状によっては試験開腹といって実際におなかを開ける手術をして、すぐに確認する必要もあります。 死の危険があるのに、とても見つけにくい物なのです。 ちょっとした事でも獣医師に報告すると診断の手助けになります。 飲み込んでしまった場合 飲み込んでしまったものは、できるならば手術することなく体外に取り出したいと思います。 吐かせるか糞便と一緒に出るかを期待します。 この方法としていくつか民間療法的なものがありますが、危険な場合もあります。 犬種によっても違いますし、異物によっても変わってきます。 まず獣医師に相談して判断を仰ぎましょう。 なんでも口にしてしまうワンパク盛りに多い事故ですが、 最近では高齢で痴呆により異物を誤嚥する犬なども報告されています。 発見と対処を早くすることが命を救う事を知っておいて下さい。 第一回「ちゃんとみていますか?」 第2回「予防医療-1 ワクチンってなに?」 第3回「予防医療-2 正しいフィラリア対策」 第4回「吐く(病院に連れて行くべきかどうか)」 第5回「咳(咳をしたら様子見をせずに病院へ)」 第6回「夏休みに気をつけること」 第7回「食餌(ごはん)のあげ方」 第8回「ノミから身をまもる」 第9回「なぜ避妊や去勢をした方が良いのか」 第10回「猫の膀胱炎」 第11回「肥満対策をしましょう」 第12回「異物の誤嚥」 第13回「歯科検診を受けましょう」 第14回「愛犬とのお散歩」 最終回 「彼らは何も言わないけれど・・・」 |
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