数年前に書いた原稿のメモを発見したので掲載しておきます。
この文章は2006年2月に発表したものです。
現在の状況とずれているものもございます。
ご了承の上閲覧ください。


 第13回「歯科検診を受けましょう」

 私たち人間はハミガキという習慣があるにもかかわらず、むし歯になったり歯周病になったりします。
犬や猫の場合、人間ほどバラエティーに富んだ食事内容ではないために
そこまで歯が汚れやすいというわけではありません。
しかし、彼らにもハミガキは必要な行為となってきました。
特に最近は歯周病から歯を失う子たちが増えてきています。

歯石(ひどい歯の汚れ)
唾液と食べかす、それに細菌が混ざり合ったものが歯の表面に残り、
これが歯垢(しこう)となります。
歯に黄色や黒いシミのようなものとして見ることができます。
犬や猫の歯は人間のものより丈夫ですから
この段階でむし歯になる事は、まずありません。
この歯垢が蓄積し、歯を覆うようになって見えるのが歯石です。
付いた歯石は自然に取れることは無いと言われていますので、治療の対象となってきます。
歯石は歯周病の原因となり、歯肉の退行がひどくなると歯は支えを失い抜けてしまいます。

歯周病(歯石の歯肉への影響)
歯を覆うように見える歯石は、
歯周ポケット(歯と歯肉とのすきま)から
歯根部(歯の根元)の方へも付着していきます。
圧迫された歯肉は炎症を繰り返し、次第に退行していきます。
これは表面の歯石に隠れて発見が遅れる事がほとんどです。
歯の付け根の歯茎の色が赤やピンクに見える場合、
歯肉で炎症を起こしている、つまり歯周病にかかっている事がほとんどですので、
検診を受ける事をお勧めします。
また歯石は細菌の固まりですから、
その炎症部位から体内への細菌の侵入経路となり、
他の臓器へ悪影響を及ぼす事もあります。

歯根部膿瘍(歯の奥での化膿)
歯の付け根でその細菌が増殖を始めると、ひどい化膿を起こします。
目の下辺りの頬から皮膚を破って出血や排膿(膿が出ること)したり、
鼻の穴から排膿する事もあります。
ひどい場合、顎の骨を溶かしてしまうこともあります。

残存乳歯
特に小型犬は小さな顎に歯が並んでいるため、歯垢・歯石がたまりやすいとされています。
さらに、噛む力が弱いので、噛んだりして歯を強くする生活習慣の無い子がいます。
とくに最近多いのが、このような子たちにみられる残存乳歯です。
永久歯が生えているにもかかわらず乳歯が抜けずに残っている状態のことです。
ただでさえも押し詰まって並んでいる歯にさらに乳歯が残っているのですから、
歯並びは悪くなり歯石の付着も多くなります。
顔が小さく、顎の骨も弱い子が多いのでひどい化膿を起こす事が心配されます。
1年たっても残っている乳歯は処置する必要があります。

個人個人で歯の汚れ方には差がありますが、その予防としてはハミガキが一番になります。
週1回のハミガキで3年違うといわれます。
いつまでも丈夫な歯でものを噛むという楽しさを味わえるように、がんばってみましょう。



第一回「ちゃんとみていますか?
第2回「予防医療-1 ワクチンってなに?
 第3回「予防医療-2 正しいフィラリア対策
第4回「吐く(病院に連れて行くべきかどうか)
第5回「咳(咳をしたら様子見をせずに病院へ)
第6回「夏休みに気をつけること
第7回「食餌(ごはん)のあげ方
第8回「ノミから身をまもる
第9回「なぜ避妊や去勢をした方が良いのか
 第10回「猫の膀胱炎
 第11回「肥満対策をしましょう
 第12回「異物の誤嚥
第13回「歯科検診を受けましょう
第14回「愛犬とのお散歩
最終回 「彼らは何も言わないけれど・・・

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