数年前に書いた原稿のメモを発見したので掲載しておきます。
この文章は2005年11月に発表したものです。
現在の状況とずれているものもございます。
ご了承の上閲覧ください。


 第10回「猫の膀胱炎」

 冒頭のあいさつ文のデータ紛失してしまいました。
当時の原稿をお持ちの方がいましたら、一声おかけください(矢島)

尿のしくみ
腎臓という臓器で血液中の排泄成分(体外にすてるもの)を見つけ、
これを水分と一緒に尿管を通して膀胱に送ります。これが尿になります。
膀胱は風船のようにその中にある程度の尿をためておくことができますが、
いっぱいになってくると排泄刺激(尿意)が生じます。
尿意を感じると、トイレに行き尿道を通して体外に排尿します。

膀胱炎とは
膀胱炎というのは、膀胱という袋の内側面の粘膜に炎症が起きているものを指します。
ここに炎症があると、たまっている尿(蓄尿)が少なくても刺激が生じて尿意を感じるので、
トイレが近くなります(頻尿)。
蓄尿が充分にあるわけではないので、1回の排尿量は少なくなります。
猫の場合、数滴ずつということもあります。
また、炎症がひどくなると出血を伴い、血尿がみられるようになります。

膀胱結石
猫の膀胱炎の場合、その原因として一番多いのが膀胱結石です。
砂状の結石が膀胱粘膜を傷つけて炎症を起こすのです。
結石の原因は尿の濃さ・成分・尿pHによるものですが、
猫の場合は体質によるものと考えていいようです。
この場合は、生涯にわたって病院で処方される食餌に切り替える必要があります。
猫にみられる膀胱結石のほとんどが食餌療法で対処できるものがほとんどであるためです。

尿道閉塞
一番気にしなければいけないのが、オス猫の尿道閉塞(尿閉)というものです。
猫のペニスは尿道が異常に細く、結石や出血で簡単に詰まってしまします。
出口を失っても尿は生成されつづけ、膀胱に収まりきらなくなった尿は腎臓にまで影響を及ぼします。
腎臓が機能を失うと、
本来からだの外に出さなければいけない成分が血液中に多くなる尿毒症という状態になります。
尿毒症になると元気がなくなり吐いたりしますが、進行すると命の危険を伴います。
ここまでに尿閉から3日ほどと言われています。

「おしっこがでない」という場合はすぐに病院に行かなければいけませんが、
本当はその前に頻尿や血尿を見つけた時点で受診することが大切なのです。


1回でも結石が出来た子は、その体質を持っていると考えていいでしょう。
適切に対処すれば予防できる病気でもあります。
しかしながら、何度も命の危険にさらされる子もいます。
わかっているのに予防策を講じないで症状を繰り返させてしまう飼い主さんもいるのです。
しっかり理解して、我が子を守ってあげてください。



第一回「ちゃんとみていますか?
第2回「予防医療-1 ワクチンってなに?
 第3回「予防医療-2 正しいフィラリア対策
第4回「吐く(病院に連れて行くべきかどうか)
第5回「咳(咳をしたら様子見をせずに病院へ)
第6回「夏休みに気をつけること
第7回「食餌(ごはん)のあげ方
第8回「ノミから身をまもる
第9回「なぜ避妊や去勢をした方が良いのか
 第10回「猫の膀胱炎
 第11回「肥満対策をしましょう
 第12回「異物の誤嚥
第13回「歯科検診を受けましょう
第14回「愛犬とのお散歩
最終回 「彼らは何も言わないけれど・・・


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